ダイビングで耳抜きができない原因と対処法|バルサルバ法だけに頼らないコツ

「耳抜きができなくて痛い」「講習で耳抜きにつまずいて不安」——ダイビングを始めようとする人がまずぶつかる壁の1つが耳抜きです。実は耳抜きができない原因の多くは体質ではなく、潜るスピードとタイミングのズレにあると言われています。この記事では、耳抜きの基本的な方法から、できないときに見直すべきポイントまで具体的にまとめました。
ダイビングで耳抜きができない一番の原因は「潜るスピード」

耳抜きができない最大の原因は、潜降のスピードが速すぎることだと言われています。耳管という管を通じて中耳の圧力を外の水圧に合わせる作業には数秒の時間がかかるため、その時間を待たずに深く潜ってしまうと圧力差がどんどん開いて抜けなくなります。
耳抜きが苦手だと感じている人の多くは、実際には耳の構造そのものに問題があるわけではなく、「潜り始めてすぐに深く沈もうとする」「1回耳抜きをしたらしばらく間を空けてしまう」といったペースの問題を抱えているケースが多いとされています。特に水深0〜5mの範囲は水圧の変化が最も急激な区間で、ここでのペース配分が耳抜きの成否を大きく左右します。
耳抜きが必要になる深度と圧力変化の目安
| 水深 | 水面との圧力差の目安 | 耳抜きの重要度 |
|---|---|---|
| 0〜5m | 最も急激に変化する区間 | 非常に高い(数秒おきに必要) |
| 5〜10m | 変化はやや緩やかになる | 高い(潜降中はこまめに) |
| 10m以深 | 深度あたりの変化率は小さくなる | 通常のペースで対応可能 |
この表からもわかる通り、耳抜きの負担は深く潜るほど増えるわけではなく、むしろ最初の5mに集中しています。焦って一気に沈もうとせず、この区間を特に丁寧に潜ることが対策の出発点です。
潜降ロープを使ったゆっくり潜降のコツ
潜降ロープを使い、水面近くで数秒ごとに耳抜きを繰り返しながら少しずつ沈むのが、耳抜きを成功させる基本のペースです。ロープを軽く握って体を安定させることで、焦らず自分のペースで圧力調整の時間を確保できます。

具体的には、潜り始めたら1〜2m沈むごとにいったん止まり、耳抜きをしてから次に進むという動作を繰り返します。耳に違和感を覚えた時点で無理に沈まず、少し浮上して圧力差を戻してから再挑戦することも有効な方法です。体験ダイビングやライセンス講習では、インストラクターがこのペースを見ながら合図を送ってくれることが多いため、初めての場合は自己判断で急がず、インストラクターの手の動きやペースに合わせることを意識しましょう。
潜降時に意識したいポイント
- 耳抜きは「痛くなる前」に行う:痛みを感じてから抜こうとすると、圧力差が開きすぎてかえって難しくなる
- 1〜2mごとに小刻みに行う:一気に深く沈んでからまとめて抜こうとしない
- 抜けないときは浮上して仕切り直す:無理に沈み続けず、圧力差を減らしてから再挑戦する
- インストラクターに合図を送る:手のひらを広げる、頭を横に振るなど、事前に習うハンドサインで意思表示する
バルサルバ法以外の耳抜き方法も試す
耳抜きの方法はバルサルバ法だけではなく、抜けにくい場合は別の方法に切り替えることも有効です。人によって耳管の抜けやすい動作には個人差があるため、1つの方法にこだわりすぎないことが解決の近道になる場合があります。

体験ダイビングの講習でまず案内されることが多いのはバルサルバ法で、鼻をつまんで軽く「ん」といきむように鼻の奥へ空気を送る方法です。手軽で覚えやすい一方、力を入れすぎると耳に負担がかかりやすいとも言われているため、軽い力で短く行うのが基本です。これで抜けにくい場合は、あごを前後に動かしながら唾を飲み込むように行うフレンツェル法や、あくびをするように口を大きく開ける方法などを試してみると、抜けやすさが変わることがあります。
主な耳抜き方法の比較
| 方法 | やり方の概要 | 特徴 |
|---|---|---|
| バルサルバ法 | 鼻をつまみ、軽くいきんで鼻の奥に空気を送る | 覚えやすく講習で最初に習うことが多いが、力の入れすぎに注意が必要 |
| フレンツェル法 | 鼻をつまみ、舌の付け根やのどを使って空気を送る | バルサルバ法より耳への負担が少ないとされ、コツをつかむまで練習が必要 |
| あくび・嚥下法 | あくびをする、または唾を飲み込む動作をする | 力を使わず自然に耳管が開きやすいとされる |
| トインビー法 | 鼻をつまんだまま唾を飲み込む | 嚥下と鼻閉じを組み合わせた方法 |
どの方法が合うかは人によって差があるため、この表を参考にしながら、自分が試しやすい方法から順番に試してみてください。判断に迷う場合は、当日インストラクターに直接コツを聞くのが一番確実です。
耳抜きが痛いとき・抜けないときにやってはいけないこと
耳に痛みを感じたまま無理に潜り続けることは避けるべきです。圧力差が開いた状態でさらに深く潜ると、鼓膜や中耳に負担がかかり、耳の炎症や痛みが長引く可能性があると言われています。
痛みを感じたら、まずその場で潜降を止め、少し浮上して圧力差を減らしてから抜け直すのが基本の対処です。それでも抜けない場合は、無理をせずインストラクターに合図してその日の潜降を見送る判断も選択肢に入れてください。「みんなに迷惑をかけたくない」と我慢してしまう人もいますが、耳の不調を我慢して潜ることは体調不良の中で潜水を続けることと同じで、安全上のリスクが高まります。
なお、鼻づまりがある状態では耳管が塞がりやすく、耳抜きがいつもより難しくなったり耳を痛めやすくなったりすると言われています。風邪や花粉症の症状がある日は、無理に予定通り潜ろうとせず、事前にショップへ相談しておくと安心です。耳抜き不全や中耳炎などの医療に関わる判断は、この記事だけで自己判断せず、耳鼻咽喉科の医師またはインストラクターに相談してください。
耳抜きが不安な人向けの当日の準備
耳抜きに不安がある場合は、申込時と当日の受付でその旨をショップに伝えておくことが役立ちます。多くのショップでは、耳抜きが苦手・初めてという申告があると、より時間をかけてゆっくり潜降するペースに調整してくれます。
当日は次のような準備をしておくと、落ち着いて耳抜きに臨みやすくなります。
| タイミング | やっておきたいこと |
|---|---|
| 申込時 | 「耳抜きが苦手・初めて」とショップに伝えておく |
| 前日〜当日朝 | 鼻炎・花粉症の症状がないか確認する |
| 講習中 | バルサルバ法とあわせて、あくびや嚥下の動作も練習しておく |
| 潜降直前 | 一度水面で軽く耳抜きの動作を確認しておく |
体験ダイビングが初めての方は、那覇のダイビングは50代・60代からでも楽しめる?でも紹介している通り、体調面の不安は年齢に関わらず事前に共有しておくことが安心につながります。乗船して酔いやすい方は、ダイビングの船酔い対策もあわせて確認しておくと、当日の不安をより減らせます。
まとめ

ダイビングの耳抜きができない主な原因は、体質ではなく潜降スピードとタイミングのズレであることが多いと言われています。水面近くの浅い深度でこまめに耳抜きをしながらゆっくり潜り、バルサルバ法で抜けにくい場合はフレンツェル法など別の方法も試してみましょう。痛みを感じたら無理をせず浮上して仕切り直し、それでも改善しない場合はインストラクターや耳鼻咽喉科に相談することが大切です。
耳抜きに不安がある方は、申込時にその旨を伝えておくと当日のペースを調整してもらいやすくなります。
よくある質問
- 多くの場合は体質そのものより、潜降スピードが速すぎることやタイミングが遅れることが原因と言われています。水面に近い浅い深度から少しずつ耳抜きをしながら潜れば、耳抜きが苦手だと感じていた人でもできるようになるケースは多くあります。ただし花粉症や鼻炎などで耳管が塞がりやすい時期は通常より抜けにくくなることがあり、繰り返し抜けない場合は耳鼻咽喉科への相談が安心です。
- 初心者に案内されることが多いのはバルサルバ法で、鼻をつまんで軽く「ん」といきむように鼻の奥に空気を送る方法です。ただし力を入れすぎると耳を痛める可能性があるとされているため、軽い力で短く行うのが基本です。うまく抜けない場合は、あごを動かしながら唾を飲み込むように行うフレンツェル法など、ほかの方法も試してみてください。
- 水面や潜降前に一度耳抜きをしておくこと自体は問題ないとされていますが、水圧がかかっていない状態で無理に強くいきむ必要はありません。耳抜きが特に重要になるのは潜り始めてから水深5m程度までの間で、この区間で圧力差が大きくなりやすいため、こまめに行うことが勧められています。
- 無理に潜り続けると、鼓膜や中耳に強い圧力がかかり、耳の痛みや炎症、まれに鼓膜の損傷につながる可能性があると言われています。耳に痛みや違和感を感じた時点で潜降を止め、いったん浅い深度に戻って抜け直すことが基本です。改善しない場合はインストラクターに合図してその日の潜水を中止する判断も選択肢です。
- 体験ダイビングでは、インストラクターが潜降ロープを使ってゆっくり深度を上げながら、耳抜きのタイミングをその都度確認してくれるプランが多くあります。申込時に「耳抜きが苦手・初めて」と伝えておくと、より丁寧なペースで潜降してもらいやすくなります。
- 鼻づまりがある状態では耳管が塞がりやすく、耳抜きがいつもより難しくなる、または耳を痛めやすくなると言われています。症状がある日は無理をせず、予定を変更できるか事前にショップへ相談することをおすすめします。市販の点鼻薬を使う場合も含め、最終的な判断は医師やインストラクターに委ねてください。
- 鼻をつまんで軽くいきむバルサルバ法や、あごを動かして唾を飲み込むフレンツェル法の動作自体は、陸上でも練習できます。当日いきなり水中で試すより、事前に動作を体に覚えさせておくと落ち着いて行いやすくなります。ただし陸上での練習はあくまで動作確認であり、水中での圧力変化に対する感覚は実際の潜降でしか掴めない点は理解しておきましょう。
- 経験のあるインストラクターであれば、耳抜きができていない様子が見えた時点で潜降を止め、浅い深度に戻って待つ対応を取ることが一般的です。もし痛みを感じているのに潜降が続くようであれば、遠慮せず手のひらを広げるなどの中止のハンドサインを送ってください。安全に関わる判断はガイド任せにせず、自分の体調は自分で伝えることが大切です。