減圧症の症状と対処法|疑わしいサインが出たら何をすべきか

2026/9/4Dibee編集部#減圧症#健康#安全#初心者
減圧症の症状と対処法|疑わしいサインが出たら何をすべきか

ダイビングを終えた後に体がだるい、関節が痛む——それは疲労なのか、それとも減圧症のサインなのか、判断に迷ったことはありませんか。本記事は減圧症について一般的な情報を紹介するものであり、診断・治療の代替にはなりません。 症状の有無や重症度を自己判断せず、疑わしい症状があれば速やかに医療機関を受診することを前提に読み進めてください。

減圧症とはどのような状態か

減圧症とは、潜水中に体内へ溶け込んだ窒素が、浮上に伴う圧力の低下によって気泡化し、血管や組織に影響を及ぼすことで起こる状態だとされています。ダイバーの間では「潜水病」とも呼ばれ、体験ダイビングを含む潜水全般に関わりうるトラブルの一つです。

岸壁に置かれたダイビングタンクとレギュレーター、圧力ゲージ

潜水中は水圧の影響で、呼吸によって取り込んだ窒素がいつもより多く血液や組織に溶け込みます。浮上によって周囲の圧力が下がると、溶け込んでいた窒素は徐々に排出されますが、浮上のペースが速すぎたり、体内に窒素が残りすぎた状態で気圧の低い環境に移ったりすると、窒素が気泡となって血管や組織にダメージを与えると考えられています。これが関節痛やしびれといった症状につながる仕組みです。

減圧症のリスクに関わるとされる要因

要因内容
浮上速度速い浮上ほど窒素が気泡化しやすいとされる
潜水本数・連日潜水本数や日数が増えるほど体内の窒素残留が増えやすい
潜水後の飛行機搭乗気圧低下により気泡化のリスクが高まるとされる
脱水・体調不良窒素の排出が遅れる可能性があると言われる

この表はあくまで一般的に指摘されている傾向の整理であり、発症の有無や重症度を予測できるものではありません。潜水後の飛行機搭乗との関係については、ダイビング後、飛行機は何時間あけるべき?で待機時間の目安を紹介しています。

減圧症で起こりうる症状

減圧症では、関節痛・頭痛・全身の倦怠感・めまい・吐き気・息切れ感といった症状が起こることがあると紹介されています。これらは潜水中から浮上後にかけて現れることが多いとされますが、時間が経ってから自覚するケースもあると言われています。

症状の現れ方には個人差があり、疲労や乗り物酔い、耳抜き不良など他の原因と見分けがつきにくい場合もあります。耳抜きができない・痛いときの原因のような潜水特有の不調と紛らわしいこともあるため、「いつもの疲れだろう」と軽く考えず、潜水後に体調の変化を感じたら、その時点で注意を払うことが大切です。

減圧症で紹介される主な症状

症状の程度主な症状
比較的軽度とされる症状関節痛、頭痛、全身倦怠感、めまい、吐き気、息切れ感
重度とされる症状しびれ・ピリピリ感、腕や脚の筋力低下、ふらつき、回転性めまい、呼吸困難、胸痛

この分類はあくまで一般的な紹介にとどまるものであり、軽度とされる症状であっても実際には重い状態が隠れている可能性があります。この表を根拠に自分で軽症・重症を判断しないでください。 少しでも異変を感じたら医療機関に相談することが基本です。

重い症状のサインを見逃さない

腕や脚のしびれ・力の入りにくさ、回転性のめまい、呼吸困難、胸痛といった症状は、脳卒中に似た症状として現れることがあると指摘されています。こうした症状は重篤化しているサインである可能性があるため、様子を見ずに直ちに対応する必要があります。

青い光が差し込む水中でサンゴ礁の脇を泳ぐダイバー

これらの症状は本人が「大丈夫、少し休めば治る」と思い込んでしまいやすい点にも注意が必要です。周囲でダイビングを共にした人が、しびれやふらつき、呂律が回らない様子などに気づいた場合は、本人の「大丈夫」という言葉だけで判断せず、すぐに助けを呼ぶという姿勢が重要だと言われています。

減圧症が疑われるときにまずすべきこと

減圧症が疑われる症状が出たら、直ちに救急要請(119番)を行い、医療機関につなぐことを最優先にしてください。自己判断で「少し休んでから考える」という対応は避けるべきだとされています。

救急要請の後は、可能であれば高濃度の酸素を吸入させながら医療機関へ搬送するという対応が一般的に紹介されています。ただし酸素吸入は専門的な器材と知識を要する処置であり、居合わせた人が独自の判断で実施しようとするのではなく、救急隊員や医師の指示のもとで行われるべきものです。ダイビングショップやボートに酸素供給の設備がある場合も、使用の判断は必ず有資格者・救急隊の指示に従ってください。

疑わしい症状が出たときの対応の流れ(一般的な考え方)

段階対応の考え方
症状に気づいた直後自己判断で様子を見ず、直ちに周囲に伝える
通報救急要請(119番)を行う
搬送まで可能であれば高濃度酸素の吸入を医師・救急隊の指示のもとで検討する
医療機関到着後医師の診断・指示に従う

この流れはあくまで一般的に紹介されている考え方の整理であり、症状の程度や状況によって実際の対応は変わります。最も重要なのは「疑わしければ直ちに救急要請する」という原則です。

医療機関ではどのような治療が行われるか

医療機関における減圧症治療の第一選択として、高気圧酸素治療(再圧治療)が紹介されています。これは高い気圧の環境下で酸素を吸入することで、体内に生じた気泡を小さくし、症状の改善を図る治療法です。

治療開始が早いほど望ましいとされていますが、発症から時間が経過した場合の効果については症状の程度などによって見解が分かれており、この記事で一律の期限を示すことはできません。時間が経過している場合であっても、専門治療のできる医療機関を受診することが推奨されています。高気圧酸素治療は医療機関が専門的な設備と医師の管理のもとで行う治療であり、個人が自分で実施できるものではありません。 「治療のタイミングを逃したから受診しても意味がない」と自己判断であきらめず、症状に気づいた時点で速やかに医療機関につながることが重要です。

潜水前後に知っておきたい相談先

体調に少しでも不安がある場合は、潜水前であればダイビングショップのインストラクターに、持病や体質に関する不安はかかりつけ医やダイビング医学に詳しい医師に相談することが基本です。DAN JAPAN(ダイバーズ・アラート・ネットワーク・ジャパン)のような、潜水事故や減圧症に関する情報提供・相談を行う専門機関も存在します。

青い海に浮かぶ白いダイビングボートと乗船するダイバーたち

年齢を重ねてから初めてダイビングに挑戦する人や、体力面に不安がある人ほど、事前の情報収集と相談が安心につながります。体力面の不安がある方向けの一般的な考え方は、那覇のダイビングは50代・60代からでも楽しめる?でも紹介しているので、あわせて参考にしてください。緊急時にどこへ連絡すべきかは、加入している保険会社やショップの案内で事前に確認しておくことをおすすめします。

まとめ

夕暮れ時、波立つ海面をクローズアップで捉えた写真

減圧症では関節痛・頭痛・倦怠感・めまいなどの症状が起こることがあり、しびれや筋力低下、呼吸困難などの重い症状に進むこともあると紹介されています。本記事は一般的な情報提供であり、診断・治療の代替にはなりません。 ダイビング後にこうした症状が疑われる場合は、軽症に見えても自己判断で様子を見ず、直ちに救急要請し、速やかに医療機関を受診してください。

安心してダイビングを楽しむためには、潜水前の体調管理と、不安なときにすぐ相談できる窓口を知っておくことが大切です。プラン選びの際は、体調面の相談がしやすいショップかどうかも確認してみましょう。

プランを探す → ショップ一覧を見る →

よくある質問

減圧症はどんな症状が出ますか?
関節や筋肉の痛み、頭痛、全身の倦怠感、めまい、吐き気、潜水中や浮上後の息切れ感などが症状として紹介されています。ただしこれらは他の体調不良でも起こりうる症状であり、この記事の情報だけで減圧症かどうかを自己判断することはできません。ダイビング後にこうした症状があれば、軽く見ずに医療機関に相談してください。
軽い症状なら様子を見ても大丈夫ですか?
自己判断で様子を見ることは勧められません。減圧症は発症当初は軽い症状でも、時間の経過とともに悪化することがあると言われています。ダイビング後に体調の異変を感じた場合は、軽症に見えても医師の診察を受けることが基本です。
減圧症が疑われるとき、まず何をすればいいですか?
直ちに救急要請(119番)を行い、医療機関の指示に従ってください。可能であれば周囲の人に症状を伝え、高濃度酸素の吸入ができる環境があれば医師や救急隊の指示のもとで対応しながら搬送を待つという考え方が紹介されています。自分たちだけで対処しようとせず、専門家につなぐことを最優先にしてください。
重い症状にはどのようなものがありますか?
しびれやピリピリとした感覚、腕や脚の筋力低下、ふらつき、回転性のめまい、呼吸困難、胸痛など、脳卒中に似た症状が現れることがあると紹介されています。こうした症状は重篤化のサインである可能性があるため、少しでも該当する場合は様子を見ずに直ちに救急要請してください。
減圧症の治療にはどんな方法がありますか?
医療機関で行われる治療の第一選択として、高気圧酸素治療(再圧治療)が紹介されています。治療開始が早いほど望ましいとされますが、発症から時間が経過した場合の効果については症状の程度などによって見解が分かれており、一律の期限を断定することはできません。これは医療機関が専門的な設備のもとで行う治療であり、自分で実施できるものではありません。時間が経過している場合も自己判断で受診を諦めず、専門治療のできる医療機関を受診することが推奨されています。
症状が治まったら普段通りに過ごしてよいですか?
症状が一時的に軽くなったように感じても、自己判断で経過観察を終えることは避けてください。減圧症は症状が変動しながら進行することがあると言われており、医師の診察を受けて指示を仰ぐことが基本です。
ダイビング後の飛行機搭乗も減圧症のリスクに関係しますか?
関係するとされています。体内に残った窒素が飛行機の気圧低下によって気泡化しやすくなるためで、搭乗までの待機時間の目安については[ダイビング後、飛行機は何時間あけるべき?](/articles/diving-flight-interval-guide)で詳しく紹介しています。ただし待機時間を守っても発症のリスクをゼロにできるわけではないため、症状が出た場合は必ず医療機関を受診してください。
不安な場合、ダイビング前後にどこに相談できますか?
潜水前の体調面の不安はダイビングショップのインストラクターに、持病や体質に関する不安はかかりつけ医やダイビング医学に詳しい医師に相談することが基本です。DAN JAPAN(ダイバーズ・アラート・ネットワーク・ジャパン)のような潜水事故に関する専門機関も存在します。緊急時にどこへ連絡すべきかは、事前に加入している保険会社やショップの案内で確認しておくと安心です。